植物研究雑誌
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ラン科コアツモリソウの色彩変異
末次健司設楽拓人
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2017 年 92 巻 2 号 p. 119-122

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抄録

コアツモリソウCypripedium debile Rchb. f.( ラン科)の唇弁には,通常,顕著な暗紫色の脈を生じるが,この脈を生じない個体が新たに見つかったので,新品種シナノコアツモリソウCypripedium debile Rchb. f. f. shinanoense Suetsugu & Shitara として記載した.タイプ産地では,およそ200 個体すべてが暗紫色の脈を生じない個体で,通常の個体とは混生していなかった.コアツモリソウは,キノコに似た匂いとキノコのヒダに似た唇弁の脈により,菌食性の昆虫を送粉者として利用していると考えられている.よって,脈を生じない新品種において,母種と送粉様式に違いがあるかは興味のあるところである.

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© 2017 植物研究雑誌編集委員会
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