経営情報学会誌
Online ISSN : 2435-2209
Print ISSN : 0918-7324
論文
情報システムの統治組織体制の有効性比較
梅原 英一太田 敏澄
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2008 年 17 巻 2 号 p. 39-59

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抄録

企業における情報システム部門の役割に関しては,COBIT4.0(ISACA,2005)で示されている企画機能,調達機能,運用機能,評価機能があげられる.企業ではこれらの機能をどの組織に担当させるかが問題となっている.そこでユーザー部門と情報システム部門の関係のあり方について分析する.その結果,この役割分担を決める要因には業務知識の粘着性と業務環境の安定性があることを示す.次に,粘着性ある業務知識を持つ部門が複数ある組織における組織構造を,チーム理論モデルを用いてモデル化する.分析対象モデルはユーザー部門垂直統合モデル,情報システム部門モデル,ツールキット・モデルとする.この3モデルが,それぞれ有効となる条件を能力の観点から示す.ユーザー部門の情報システム能力が高い場合は,情報システム部門が全社共通システムを担当し,ユーザー部門が各部門独自のシステムを担当するツールキットモデルが有効であり,逆に能力が低い場合は,情報システム部門に集中させる方が有効であることを示した.

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© 2008 一般社団法人 経営情報学会
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