コンセプトテストの品質に関する既存文献は,「誰に見せるか?」と「何を見せるか?」に限定されてきた.「どう見せるか?」は仮想現実がもたらすリアリティが提案されているが,費用と期間の負担が大きい.本研究は,商品閲覧環境のリアリティに着目し,「コンセプトテストにおいて, ECサイトの画面デザインは,市場シェアの推定精度を向上させる」という仮説を策定した.ランダム化比較試験の結果,通常の画面デザインに比べて,ECサイトを模した画面デザインの方が市場シェアの推定精度が高まることを示した.その効果は,メーカーブランドECサイトよりも,第三者ECサイトの方が高くなった.さらに,コンセプトテストで購入意向を示した商品について,実際に購入する確率を問うと,通常よりもECサイトデザインの方が高い購入意向となることを確認した.ECを模したデザインはリアリティを感じさせ,現実の購入行動に即した回答になると推察できる.