日本外傷学会雑誌
Online ISSN : 2188-0190
Print ISSN : 1340-6264
ISSN-L : 1340-6264
症例報告
小児の非骨傷性頚髄損傷の1症例
町田 浩志中野 実高橋 栄治中村 光伸鈴木 大輔鈴木 裕之蓮池 俊和仲村 佳彦馬場 慎司畠山 淳司針谷 康夫水島 和幸
著者情報
キーワード: 非骨傷性頚髄損傷, SCIWORA
ジャーナル フリー

2011 年 25 巻 3 号 p. 353-356

詳細
抄録

 小児の非骨傷性頚髄損傷を経験したので報告する. 症例は11歳, 男児. 運動中に頚部が一時的に強い後屈状態となり, 外表上明らかな外傷はないものの徐々に後頚部痛, 両上肢・右下肢の筋力低下が生じたため近医受診. 頚髄MRIで明らかな異常所見なく, 精査加療目的で当院搬送.

 入院2日目に左下肢筋力低下と下肢腱反射亢進が出現し頚髄MRIを再検. 明らかな骨傷を伴わないC3~C7の頚髄髄内病変を認めたため非骨傷性頚髄損傷の診断がついた.

 神経学的異常所見があるにもかかわらず, 受傷直後の画像所見で有意所見を認めない頚髄損傷があるため, 小児の外傷でも受傷機転より頚髄損傷の可能性が否定できない場合は, 高齢者と同様に注意深い経過観察が必要である.

著者関連情報
© 2011 一般社団法人 日本外傷学会
前の記事 次の記事
feedback
Top