2011 年 25 巻 3 号 p. 353-356
小児の非骨傷性頚髄損傷を経験したので報告する. 症例は11歳, 男児. 運動中に頚部が一時的に強い後屈状態となり, 外表上明らかな外傷はないものの徐々に後頚部痛, 両上肢・右下肢の筋力低下が生じたため近医受診. 頚髄MRIで明らかな異常所見なく, 精査加療目的で当院搬送.
入院2日目に左下肢筋力低下と下肢腱反射亢進が出現し頚髄MRIを再検. 明らかな骨傷を伴わないC3~C7の頚髄髄内病変を認めたため非骨傷性頚髄損傷の診断がついた.
神経学的異常所見があるにもかかわらず, 受傷直後の画像所見で有意所見を認めない頚髄損傷があるため, 小児の外傷でも受傷機転より頚髄損傷の可能性が否定できない場合は, 高齢者と同様に注意深い経過観察が必要である.