日本外傷学会雑誌
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症例報告
感染と疼痛に対する積極的治療が奏功した開放性不安定型骨盤骨折の1例
今村 清隆岡田 尚也嶋口 万友南野 佳英井上 玲北田 智弘橋本 陽平野路 武寛中村 透加藤 弘明鈴木 温安保 義恭中村 文隆成田 吉明岸田 明博樫村 暢一宮田 康史
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2011 年 25 巻 4 号 p. 442-446

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抄録

 生来健康な49歳, 男性. 工事中に1.5tの鉄板に挟まれ受傷. ドクターヘリにて搬送となり, 不安定型骨盤骨折と腹膜外遠位直腸断裂と診断した. 大量輸血・TAE・創外固定後に後腹膜へ広がる汚染に対して直腸離断・肛門側直腸洗浄・仙骨前面ドレナージ術を施行した. 人工肛門造設術を翌日に施行. ICUでの全身管理と局所の洗浄にて20日目に敗血症から離脱した. 骨盤周囲軟部組織の重篤な感染のために創外固定の維持が困難であったが, 積極的な疼痛緩和下での創洗浄を継続し4ヵ月目に骨盤の安定化を得て, 10ヵ月目に独歩での自宅退院が可能となった. 骨盤周囲軟部組織の重篤な感染を合併した不安定型骨盤骨折における骨盤安定性の保持について文献的考察を加え報告した.

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© 2011 一般社団法人 日本外傷学会
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