2012 年 26 巻 4 号 p. 416-420
30歳代の男性. 軽自動車運転中, 電柱に衝突し両側血気胸と診断され両側にそれぞれ2本ずつのトロッカーを挿入し入院した. 第6病日に循環呼吸状態は安定したが, 炎症反応の遷延化があり, CTで腹腔内free airの増加と軽度の腹水を認めた. 腹腔鏡診断を行い, 腸管損傷が否定され気腹症であったことを確認した. 外傷における腹腔鏡手術は, 呼吸循環動態に大きな影響を及ぼすことを危惧し否定的な意見も多いが, 低侵襲であり治療の選択の1つである. 気腹症は胸部損傷および受傷時からの陽圧換気によって拡大したと考えられた.