日本外傷学会雑誌
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症例報告
鈍的腹部外傷により遅発性腸間膜仮性動脈瘤を形成した一例
明石 祐作渥美 生弘有吉 孝一
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2014 年 28 巻 1 号 p. 10-15

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抄録

 腹部鈍的外傷の比較的まれな合併症に,遅発性の腸間膜仮性動脈瘤がある.破裂すれば重篤な転帰を辿りうるため,臨床経過を理解し,早期発見に努めることが重要である.症例は60歳,男性.自動車運転中に対向車と衝突,路上に横たわっている状態で発見された.来院時CTにて外傷性大動脈解離と回盲部付近の腸間膜血腫を認めた.いずれも保存的加療を選択し,安定した経過を辿っていた.入院8日目に腹痛を訴えた.翌日,CTで回結腸動脈に未破裂仮性動脈瘤の形成を認めた.同日,経カテーテル的動脈塞栓術にて仮性動脈瘤を塞栓した.腸管虚血の合併なく,治療成功した.腸間膜に血管損傷を伴う腹部鈍的外傷では,本合併症を念頭に置く必要がある.

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© 2014 一般社団法人 日本外傷学会
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