日本外傷学会雑誌
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症例報告
重症鈍的胸部外傷による出血性ショックに対し蘇生的開胸術を施行し救命した1例
飯塚 進一山本 理絵河谷 雅人金指 秀明秋枝 一基
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2016 年 30 巻 4 号 p. 454-457

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抄録

 症例は51歳の男性. 仕事中に地上8mから墜落した. ドクターヘリ現着時, 左大量血胸と骨盤骨折と診断し現場で気管挿管と左胸腔ドレナージを施行した. 病着時, 左血胸と骨盤骨折に起因する出血性ショックによる心肺停止となった. 蘇生的開胸後, 左深在性肺裂傷からの活動性出血を肺門遮断により制御した. 骨盤骨折は大動脈遮断を行い一時止血した. ハイブリッド手術室に移動し左肺下葉切除術とガーゼパキング, 両側内腸骨動脈塞栓術, 骨盤創外固定術を行った. 深在性肺裂傷が原因の重度出血性ショックは, 蘇生的開胸術による肺門部遮断が有効である.

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© 2016 一般社団法人 日本外傷学会
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