日本外傷学会雑誌
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症例報告
下横隔動脈損傷による血胸の1例
猪熊 孝実上木 智博泉野 浩生山野 修平田島 吾郎平尾 朋仁山下 和範山崎 直哉村上 友則田﨑 修
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2017 年 31 巻 1 号 p. 24-27

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抄録

 症例:66歳,女性.外傷を受傷した自覚はなかったが,右側胸部痛が出現したため近医を受診したところ,右血胸が疑われたため当院へ転院.来院時,頻呼吸,心拍数112回/分,血圧119/84mmHg,腋窩温36.1度,Glasgow coma scale(GCS)14(E3,V5,M6).胸部造影CTで右胸腔内の大量の液体貯留と右第11,12肋骨骨折を認めた.液体貯留量は前医より増加しており,血管造影を行った.血管造影で右腎動脈から分岐する右下横隔動脈損傷による血胸を認め,右下横隔動脈をN-butyl-2-cyanoacrylateとlipiodolの混合液を用いて選択的に塞栓した.結語:血胸の原因として腹部から起始する下横隔動脈の損傷を念頭に置く必要がある.

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© 2017 一般社団法人 日本外傷学会
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