2017 年 31 巻 1 号 p. 31-35
下肢切断を余儀なくされる場合,膝関節を温存できるか否かは機能予後に大きな影響を与える.重度下腿開放骨折における下腿切断術施行時にspare parts surgeryを行い,膝関節を温存し得た症例を報告する.症例は39歳,男性,左下腿開放骨折(AO41-C2,GustiloⅢB)であり,受傷後9日目に近医より紹介転院となった.膝関節近傍に分節状骨欠損と皮膚軟部欠損を認め,転院4日目に骨接合術と遊離広背筋皮弁にて再建したが皮弁は全壊死となった.切断術を施行した際に下腿切断末梢側から後脛骨動脈有茎骨皮弁を挙上し断端を再建した.膝関節機能が温存され義足歩行に有効となった.spare parts surgeryは重度四肢外傷の断端形成において常に考慮されるべき有用な手法である.