日本外傷学会雑誌
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臨床検討
MDCTによる鈍的横隔膜損傷診断の限界
大塚 洋幸平良 隆行佐藤 俊樹青木 弘道山際 武志中川 儀英猪口 貞樹
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キーワード: 鈍的横隔膜損傷, 診断, MDCT
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2018 年 32 巻 1 号 p. 9-13

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抄録

 【背景】Multi-detector computed tomography : 以下MDCTにより鈍的横隔膜損傷 (Blunt diaphragmatic injury : 以下BDI) の画像診断率は明らかに向上したが, 未だに診断困難例は存在すると考えられる. MDCTによるBDI診断の限界を横隔膜損傷 (Diaphragmatic injury : 以下DI) の大きさと対比して明らかにした. 【方法】2006年1月から2015年12月までに当院で術前MDCT施行後に手術したBDI 15例を対象として, その臨床的特徴, 術前診断率, DI所見などを後方視的に検討した. 【結果】平均年齢は48歳, 性別は男性66.7%, 交通事故が主たる受傷機転であった. 手術所見でDIの大きさ (cm) は13.1±9.1 (範囲1.0-33.0) でヘルニアは11例に認められた. ヘルニアのないDIの大きさ7.0と10.0の2例は術前診断できたが, 1.0と3.0の2例は術前診断できなかった. 術前診断率は86.7%. 【結語】MDCTでもヘルニアを伴わない小さなBDIの診断は難しい.

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© 2018 一般社団法人 日本外傷学会
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