日本外傷学会雑誌
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症例報告
Trochanteric Flip Osteotomyを併用し緊急観血的整復固定術を施行した股関節脱臼骨折の1症例
木浪 陽根津 智史野田 知之
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2018 年 32 巻 3 号 p. 407-410

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抄録

 24歳男性, 自動車で高速道路走行中に追突事故にて受傷, 当院へ救急搬送され, 左股関節脱臼骨折 (Pipkin type II) を認めた. 全身麻酔下に徒手整復不能であり観血的整復術を行った. 後方進入で脱臼骨頭の整復を試みたが, 関節包のbuttonhole様断裂を伴い後壁が高度に骨折部に嵌入し整復不能であった. trochanteric flip osteotomy (以下TFO) を併用し関節包切離し後壁嵌入を解除し慎重に骨頭を臼蓋内に一度整復した. その後前方脱臼させ骨頭骨片を骨接合, 骨頭整復し関節包・関節唇を修復した. 術後1年, 骨癒合良好で大腿骨頭壊死もなく, Harris Hip Score は96/100点であり, 原職復帰している. 徒手整復不能な股関節脱臼骨折に対するTFOを併用した観血的整復固定術は, 医原性頸部骨折を予防でき大腿骨頭壊死の合併もなく, 機能も良好であった.

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© 2018 一般社団法人 日本外傷学会
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