2020 年 34 巻 3 号 p. 40-43
メッケル憩室は消化管の先天的奇形のひとつで多くは無症状だが, まれに出血や炎症が生じる. 我々は外傷性メッケル憩室穿孔というまれな症例を経験した. 症例は52歳男性, バイク乗車中に受傷し, 左下肢・下腹部に強い自発痛を認めた. バイタルサインは安定, 体表所見は右前胸部, 左側腹部, 手指に打撲痕と挫傷, 左大腿部腫脹を認めた. 造影CT上, 軽微なfree airと腹水を認めた. 経時的に腹水が増加したため同日緊急開腹術を行った. 開腹時, 血性腹水と腸液を確認した. 回盲部から40cmにメッケル憩室の穿孔を認め, 楔状に切離修復した. 他に腸間膜の損傷を数ヵ所認め止血修復し, 術後経過は良好であった. なお, 切除検体の病理検査では異所性粘膜は認めなかった.