日本外傷学会雑誌
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原著
病院前蘇生的開胸術の適応と効果
益子 一樹松本 尚安松 比呂志上田 太一朗山本 真梨子岡田 一宏本村 友一齋藤 伸行八木 貴典
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2021 年 35 巻 3 号 p. 219-226

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抄録

 病院前蘇生的開胸術 (prehospital RT ; pRT) 施行例の評価を後方視的に行った.

 対象と方法 : 2012年~2018年にpRTを施行した119例に対して, pRT決断時状態と入院後経過, 予後の調査を行った.

 結果 : 119例中7例が生存退院, うち鈍的外傷3例を含む5例がCPC1-2であった. pRT決断時において, 医師接触後に頸動脈触知不能となった (Neck Pulse Absence after physician’s contact ; NPA) 群 (n=21), PEAで医師が接触した (PEA) 群 (n=31), 心静止群 (n=67) の3群間比較においては, 24時間生存, 生存退院, 退院時CPC1-2 で統計学的有意差を認め, 多重比較においてはNPA-PEA群間 (p=0.03), NPA-Asys群間 (p<0.001) で生存退院に有意差を認めた.

 結論 : 鈍的外傷が圧倒的に多い母集団においてもpRTの有効例が存在した. NPAがpRT決断の良い適応である可能性が示されたが, さらなる追加検討が必要である.

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© 2021 一般社団法人 日本外傷学会
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