ダウン症生徒におけるビデオモデリングを用いた買物スキルの形成に関する検討

抄録

16歳のダウン症生徒1名に対しで、ビデオモデリングを用いた買物スキルの形成に関す指導手続きを検討した。生態学的アセスメントを行い買物スキルを標的行動として選定した。指導に際して、買物場面を課題分析して、それをもとにビデオ教材を作成した。課題分析した一連の標的行動は、<操作的行動項目>("買物メモを見て商品を選ぶ"、"商品を購入する"など)と<社会的行動項量> ("商品の所在を尋ねる")に分けた。指導は、指導I期(ビデオモデリング)、指導II期(ビデオモデリング+弁別訓練)、指導III期(ビデオモデリング+弁別訓練+プロンプト)から構成した。指導の結果、"買物メモを見て商品を選ぶ"行動はビデオモデリングで獲得されたが、"商品の所在を尋ねる"行動はビデオモデリングのみでは獲得されず、実際の買物場面での段階的プロンプトを加えることが必要であった。買物スキルの形成において、標的行動に応じてビデオモデリングに買物メモや段階的プロンプトを併用することの有効性が示唆された。