行動分析学研究
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刺激等価性の成立における共通ネーミングの機能
佐藤 隆弘
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2002 年 16 巻 1 号 p. 2-21

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抄録

研究の目的 本研究では、被験者による共通ネーミングが刺激等価性の成立に与える効果を調べた。研究計画 群間デザインによる二つの実験を行った。場面 各被験者は実験室の実験装置の前に座り、それぞれ個別に実験を受けた。被験者 実験1(10名)、2(6名)ともに大学生であった。介入 (実験1)ネーミング訓練条件群の被験者には、実験者が設定した各等価クラスの一刺激に対するネーミングを訓練した。その後に行った見本合わせ訓練では、これらの被験者に、見本刺激と正の比較刺激に同じ名前を付けるように教示した。さらにこれらの被験者には、見本合わせテストにおいて提示された見本刺激の名前を発言するように要求した。一方、統制条件群の被験者にはネーミング訓練を行わず、また、見本合わせ訓練での刺激へのネーミングを要求しなかった。さらに統制条件群の被験者には、テストにおいて、自発的なネーミングを妨害するための短文の音読課題を与えた。(実験2)すべての被験者に対して見本合わせ訓練の前にネーミング訓練を行ったが、テストでは短文の音読課題を与えて被験者のネーミングを妨害した。行動の指標 テストでの正答率と反応時間を指標とした。結果 実験1のネーミング訓練条件群の被験者のうち3名は、正答率と反応時間にノード距離効果が現れていない等価クラスを形成した。これに対し、実験1の統制条件群と実験2の被験者は、全員がテストにおいて等価クラスの形成に失敗した。結論 被験者が共通ネーミングを行うことができる場合、それによって刺激等価性の成立が促進されると結論できる。

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© 2002 一般社団法人 日本行動分析学会
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