行動分析学研究
Online ISSN : 2424-2500
Print ISSN : 0913-8013
ISSN-L : 0913-8013
行動分析学と経済学 : 進化的枠組みの中での共同作業をめざして(<特集>行動経済学の現在)
坂上 貴之
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 16 巻 2 号 p. 92-105

詳細
抄録

行動分析学における行動経済学は、4つの研究の流れ、すなわち摂食行動についての生態学的アプローチ、伝統的経済心理学研究とトークンエコノミーでの経済分析、強化相対性についての量的定義の追求、そしてマッチングの法則の展開、から形成された。それは、強化の有効性についての新しい指標、実験.条件の手続き的理論的区別、選択行動の最適化理論という3つの主要な成果をもたらした。この最後のもっとも影響のある成果は徹底的および理論的行動主義に対する別の選択肢としての目的論的行動主義を促した。が、同時にそれは経済学から限定合理性と不確実性という2つの問題も引き継いだ。実験経済学と進化経済学はこれらの問題を克服しようとする2つの候補であり、両者ともその実験的理論的枠組みとしてゲーム分析的なアプローチを利用している。特に後者は行動分析にとって魅力ある研究領域である。なぜなら、それは限定合理性を含んだ進化ゲームと、生物学的枠組みとは異なる進化過程の多様な概念的アイデアを提供するからである。

著者関連情報
© 2002 一般社団法人 日本行動分析学会
前の記事 次の記事
feedback
Top