行動分析学研究
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言行一致訓練の適用による「教室内」妨害行動の自己抑制の促進
中野 良顯山下 佳子
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1988 年 2 巻 p. 2-22

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抄録

言行一致訓練は, それによって望ましい行動の促進をねらうものと, 望ましくない行動の抑制をねらうものとに分類できる。本研究では, 否定文による事前約束の自発(saying not)と, 約束した問題行動の抑制(not doing)とを一致させることによって自己抑制を促そうとする抑制型言行一致訓練を用い, ひとりの発達障害中学男児の小集団場面における問題行動の自己抑制を促進させることを目的とした。標的行動は, 放課後のクリニックでの教室シュミレーション場面での戸棚開け, 離席, および場面に関係ない言葉を言う行動の3種であり, それらに関する集団活動の開始時点での事前約束とその後の遂行との間の一致・不一致のそれぞれに対して, 菓子の摂取と仲間との談笑による強化と, 排除型タイムアウトとを適用した。63セッションの治療期間中の行動間マルチプル・ベースライン分析と1年半後のフォローアップの結果は, 3種の行動がいずれもこの言行一致訓練によって自己抑制され消失したことを示した。その結果を言行不一致に対する罰の適用の意義, 一致訓練がもたらすものとしての自己抑制とルール支配行動, 訓練の般化と社会的妥当性, および一致訓練の罰をうわまわる長所等の観点から考察した。

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© 1988 一般社団法人 日本行動分析学会
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