行動分析学研究
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エビデンスにもとづいた発達障害支援 : 応用行動分析学の貢献(<特集>エビデンスに基づいた発達障害支援の最先端)
山本 淳一澁谷 尚樹
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2009 年 23 巻 1 号 p. 46-70

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抄録

本論文では、2004年にわが国で制定された「発達障害者支援法」が示している発達障害への支援のありかたについて、応用行動分析学がどのように貢献できるかを概説した。応用行動分析学のもつ「科学性」と「包括性」を整理し、それが、「発達障害者支援法」にうたわれている理念に一致していることを指摘した。次に、「自閉性障害」「注意欠陥/多動性障害」「学習障害」をとりあげて、以下の点についてエビデンスにもとづく支援方法を吟味した。(1)それぞれの発達障害にはどのような特徴があるか?(2)科学的な発達支援方法がどのように明らかにされてきたか?(3)より大きな支援プログラムがどのようにつくられ、その効果が大規模研究によってどのように分析されてきたか?(4)そのような研究を基盤にして、どのように支援ガイドラインが提示されてきたか?(5)様々な特徴をもつ個人に対して、様々な実践現場で活用するために、新たな研究と実践がどのように発展してきたか?その結果、研究成果を受けてガイドラインが提示され、ガイドラインをさまざまなニーズをもつ個人に適用するための方法が開発され、さらに新たな支援成果が蓄積される、という一連の発達支援の発展を抽出した。研究というのは、研究そのもので完結するのではなく、支援そのものの質の向上を促すための必要条件であることを示し、今後の研究課題を討議した。

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© 2009 一般社団法人 日本行動分析学会
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