行動分析学研究
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発達障害児の書字反応の正確性に及ぼす自己記録の効果
太田 研
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2010 年 24 巻 2 号 p. 17-29

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抄録

研究の目的 本研究の目的は、発達障害を抱える児童生徒の書字反応の正確性の改善に対して自己記録の適用範囲を拡大すること、および自己記録のみでも書字反応の正確性の改善に効果的に作用するかを検証することであった。研究計画 A-B-Aデザインと操作交代デザインの混合計画を用いた。場面大学内の心理相談室または参加児の家庭で実施した。参加者 発達障害を抱える男児2名が参加した。独立変数自己記録が3つの計画された随伴性(賞賛遮断条件、自己賞賛条件、他者賞賛条件)において導入された。行動の指標 書字反応の正確性とした。結果 自己記録の導入後、2名の参加児の書字反応の正確性は上昇した。また、自己記録後に他者からの言語的賞賛が随伴する条件、参加児自身が言語的賞賛を随伴させる条件、言語的賞賛を遮断する条件で自己記録の効果に違いは観察されなかった。結論 微細な運動調整を要する書字反応の正確性においても自己記録が効果的に作用することが示された。自己記録のみでも反応効果が生じるかについては、不明確であった。

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© 2010 一般社団法人 日本行動分析学会
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