行動分析学研究
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通常学級における集団随伴性を用いた介入パッケージが授業妨害行動に及ぼす効果の検討 : 介入パッケージの構成要素分析を通して
田中 善大鈴木 康啓嶋崎 恒雄松見 淳子
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2010 年 24 巻 2 号 p. 30-42

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抄録

研究の目的 本研究は、通常学級において小学3年生の授業妨害行動(不適切な発言)の減少とその代替行動(適切な発言)の増加のために、集団随伴性を用いた「いかりをおろそう!」(Anchor the Boat)の手続きを含む介入パッケージを実施し、その効果を検証することを目的として行った。研究計画 朝の話、1時間目(主に算数)、2時間目(主に国語)の3つの場面にわたり、ベースライン期に続いて、介入を実施した。場面 公立小学校の通常学級において行った。参加児 公立小学校の3年生33名(男児15名、女児18名)であった。独立変数の操作 上手な聞き方の5つのルールの黒板への掲示、聞く準備の合図、集団随伴性を用いた「いかりをおろそう!」の手続き、担任の対応からなる介入の実施を独立変数とした。行動の指標 学級担任の許可なしに児童が発言することを不適切な発言として定義し、授業中の不適切な発言の生起をインターバル記録法によって測定した。結果 不適切な発言の減少のためには、ルールの掲示、聞く準備の合図、担任の対応に加えて、「いかりをおろそう!」の手続きが必要であることがわかった。これに対して、適切な発言に関しては、ルールの掲示、聞く準備の合図、担任の対応のみでその増加が見られた。結論 本研究で実施した介入パッケージの構成要素分析から、学級内のルールが機能するための要因についての検討を行った。

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© 2010 一般社団法人 日本行動分析学会
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