2011 年 25 巻 2 号 p. 131-143
研究の目的選択決定の効果を特定するために、同一の活動性の玩具カードを用いた選択機会を設定した。研究1では参加児の選択機会に対する選好を特定し、研究2ではカード数が、各選択肢に対する参加児の選好に影響を与えるか否かを検討した。研究計画選好アセスメントにより、課題従事行動の随伴操作として用いる刺激(カード)を特定した。選択機会は複数枚のカードを配置した複数選択肢、1枚のカードを配置した単数選択肢、何も配置しなかった統制選択肢により構成された。複数選択肢と単数選択肢で配置したカードは同一であった。場面民間教育施設で実施した。参加児2名の発達障害をもつ男児であった。独立変数複数選択肢に配置したカード数を独立変数とした。行動の指標各選択肢に対する参加児の選択数を行動の指標とした。結果研究1では2名の参加児が単数選択肢を多く選択した。研究2では複数選択肢におけるカード数を増加させた場合に、1名の参加児は複数選択肢への選好を示した。結論カード数を増加させる手続きは、そのカードが配置された選択肢の強化力を一時的に高める可能性が示された。ただし、本結論がどのようなタイプの子どもにいえるのかについては今後の課題として残された。