行動分析学研究
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実践報告
自閉スペクトラム症児における非食事場面を用いた箸操作訓練
岩橋 瞳米山 直樹
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2019 年 34 巻 1 号 p. 53-63

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抄録

研究の目的 自閉スペクトラム症児に対し、視覚的プロンプトや強化子の提示といった応用行動分析に基づく箸操作訓練を非食事場面において実施し、訓練効果と、その効果の食事場面への般化を検討した。研究計画 参加者間多層ベースライン法を用いた。場面 研究施設または参加児の自宅で実施した。参加者 2名の就学前の自閉スペクトラム症児であった。介入 「箸の持ち方訓練」では時間遅延法、視覚的プロンプトを使用し、正反応に対し強化子を随伴させた。「箸でつまむ訓練」では正反応に対し強化子を随伴させた。それらの訓練を研究者と保護者が非食事場面で実施した。行動の指標 「箸の持ち方訓練」では持つまでに必要なプロンプトの量に応じて算出した得点率を、「箸でつまむ訓練」ではつまむ動作の正反応率を、箸操作スキルの指標として用いた。保護者は食事場面における箸の使用割合とつまむ動作を評価した。結果 2名の参加児でともに、非食事場面における箸操作スキルが改善し、食事場面への般化が見られた。結論 箸操作スキルの改善における応用行動分析的アプローチの有効性が示された。

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© 2019 一般社団法人 日本行動分析学会
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