2024 年 38 巻 2 号 p. 110-119
研究の目的 大学生3名に対して目標設定とグラフ・フィードバックを用いた介入を行い、スマートフォンの使用時間の減少とともに、睡眠の質が改善されるかを検討することであった。研究計画 参加者間多層ベースラインデザインと基準変更デザインの混合デザインを用いた。場面 オンラインを通じて介入を行った。参加者 3名の大学生であった。介入 ベースライン期の平均スマートフォン使用時間の90%を目標に毎日グラフ・フィードバックを行い、目標達成に応じて再度目標設定を行った。行動の指標 スマートフォン使用時間、入床時刻、睡眠尺度の得点を指標とした。結果 3名中2名の大学生はスマートフォン使用時間を減らすことができ、スマートフォン使用時間が減少した参加者は睡眠の質を改善することができた。また、そのうち1名は入床時刻が早まっていた。結論 目標設定とグラフ・フィードバックは、スマートフォン使用時間を減少させる手法である可能性やスマートフォン使用時間の減少に伴い代替行動が形成されることによって睡眠の質を向上させる可能性が示唆された。また本研究によりオンラインを通じた生活習慣に関する行動変容の可能性を示すことができた。