行動分析学研究
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研究報告
大学生のアーチェリー競技における点数とフォームのグラフフィードバックによる行動的コーチングの効果
平田 大智小林 千夏米山 直樹
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2024 年 38 巻 2 号 p. 99-109

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抄録

研究の目的 アーチェリー競技を対象とした行動的コーチングにおいて、「点数」と「フォーム」の2種類のグラフフィードバックを使用し、どちらが有効であるか比較検討することを目的とした。また順序効果も考慮し、順番を参加者間で入れ替えて検討した。研究計画 ABCAデザインないしACBAデザインにて行った。参加者 大学体育会洋弓部に所属する女子選手4名であった。介入 4名の選手をフォームフィードバック条件先行群と点数フィードバック条件先行群に2名ずつ割当て、グラフフィードバックを行った。行動指標 5つの目標行動の達成率と競技点数であった。結果 フォームフィードバック条件先行群では、介入後、フォーム成績の上昇とともに1名において競技点数の上昇が認められ、点数フィードバック条件でも維持されていた。一方、点数フィードバック先行群では、介入後、フォーム成績と競技点数の上昇は認められず、フォームフィードバック条件に移行すると2名とも競技点数の低下が認められた。考察 フォームフィードバックのみで点数とフォーム成績が向上することが示唆された。一方、競技点数を先にフィードバックすることは、フォームフィードバックを行う上で抑制的に働く可能性があると考えられた。点数が下がった原因として自身の自己修正と標的行動の干渉が考えられる。また、アーチェリーのクローズドスキルスポーツという競技特性も結果に影響を与えた可能性がある。

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