行動分析学研究
Online ISSN : 2424-2500
Print ISSN : 0913-8013
ISSN-L : 0913-8013
英語の定冠詞と不定冠詞の学習における文法の役割
島宗 理C.HO SERENA
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 8 巻 2 号 p. 128-139

詳細
抄録

本研究では米国滞在中の留学生に定冠詞・不定冠詞の使い方を教えるさいの文法の役割を実験的に検討した。被験者の留学生には最初に事前テスト、次にトレーニング、そして最後に般化テストを行った。課題としては、空欄に不定冠詞(a)、定冠詞(the)、あるいは何も入らないを選択する文章完成問題を使用した。被験者は冠詞の使い方に関するルールを与えられた文法群と、ルールを与えられなかった無文法ルールに分けられた。一般的に、文法群の被験者は無文法群の被験者に比べ、トレーニングで学習基準に達成するのが早かった。両群ともに般化テストの成績は事前テストの成績よりも高く、トレーニングの効果が新しい文章へ般化したことがわかった。さらに、般化テストの問題について反応選択の理由を記述させたところ、無文法群の被験者は文法をルールとして学んでいたわけではないことが判明した。英語の冠詞の学習にとって、ルールの提示は学習のスピードを速める効果があるが、それなしでは学習が進まないわけではないことが示された。

著者関連情報
© 1995 一般社団法人 日本行動分析学会
前の記事 次の記事
feedback
Top