認知行動療法研究
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実践研究
自閉症スペクトラム障害特性を背景とするひきこもり状態にある人の家族支援—発達障害者支援センターにおけるCRAFT適用の検討—
平生 尚之稲葉 綾乃井澤 信三
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2018 年 44 巻 3 号 p. 147-158

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抄録

本研究では、自閉症スペクトラム障害特性(以下、ASD)を背景とするひきこもり状態にある人の家族を対象とし、ASDに特化したCRAFTプログラムによる介入を実施した。本プログラムは、個別セッションと集団セッションの併用型とし、対象者は本人相談につながりにくい9家族12名の親であった。本介入の結果、ひきこもり行動チェックリストの得点が改善され、本人10名中6名が相談につながり、別の1名はアルバイトを開始した。また、家族の心理的ストレス反応(SRS-18)の低減も認められた。本介入では、ひきこもり状態にある本人がASD特性のなかでも受け身型で、なおかつ対人不安の強いタイプに効果的であった。一方で、参加した親のなかでパートナーにもASD特性が疑われる場合は、精神健康度(GHQ-28)が介入後に低減したが、フォローアップ時には再上昇が認められた。

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© 2018 一般社団法人日本認知・行動療法学会
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