認知行動療法研究
Online ISSN : 2433-9040
Print ISSN : 2433-9075
原著
恐怖の高まりを伴う安全確保行動がエクスポージャーの治療効果に与える影響
伊藤 理紗矢島 涼佐藤 秀樹樋上 巧洋松元 智美並木 伸賢国里 愛彦鈴木 伸一
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2019 年 45 巻 1 号 p. 13-22

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抄録

本研究では、(1)安全確保行動を恐怖のピークの前でとるか後でとるか、(2)恐怖対象への視覚的な注意の有無が、治療効果に及ぼす影響を検討した。ゴキブリ恐怖の大学生を対象に、四つの条件のいずれか一つに割り当てた:(a)恐怖ピーク後注意あり群、(b)恐怖ピーク後注意なし群、(c)恐怖ピーク前注意あり群、(d)恐怖ピーク前注意なし群。群と時期(エクスポージャー前・エクスポージャー直後・フォローアップ時)を独立変数、ゴキブリ恐怖を従属変数とした分散分析の結果、メインアウトカムである行動評定の恐怖度の変数において、時期の主効果が有意であった。また、セカンダリーアウトカムである想起時の回避度において、交互作用が有意であった。単純主効果の検定の結果、a・b群はフォローアップ時の回避度の改善が認められないのに対し、c・d群は改善が認められた。最後に、治療効果が認められた原因について考察した。

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© 2019 一般社団法人日本認知・行動療法学会
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