論文ID: 21-025
在宅リハビリテーションでは、高齢者特有の心理状態により目標設定が不明確となっていると指摘されている。本研究では、在宅リハビリ患者に対する価値に関する介入が、生活の質と目標設定に及ぼす効果について、単一事例を通して検討した。患者は慢性腰痛を抱える男性であり、腰痛による活動性低下と、運動の拒否が生じていた。介入は、週に2回計12回の介入セッションと、2週間後のブースターセッション1回を実施した。結果、心理的柔軟性と生活の質が向上し、運動の拒否行動が減少した。価値に基づく行動として将棋を行い、痛みがあっても活動できることに気づき、運動が価値に関連づけられたことで拒否行動が低減したと考える。また、本研究では患者本人の心理的問題だけでなく、家族やリハビリ担当者との関係性とその問題を扱うことで、さらに介入の有効性を高めることができたと考えられる。