生物教育
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研究論文
ハードコンタクトレンズ用洗浄保存液によるDNA抽出法
中山 生欧前川 洋
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1998 年 38 巻 2 号 p. 58-62

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抄録

ハードコンタクトレンズ用洗浄保存液を界面活性剤として用いて,高等学校の生徒が50分の授業の中で動物・植物両方の組織からDNAを抽出する簡易な方法を検討した.

1.SDSなどの界面活性剤の代わりにハードコンタクトレンズ用洗浄保存液(メニコンO2ケア,主成分:陰イオン系界面活性剤・非イオン系界面活性剤)を用いて,マダラ(Gadus macrocephalus Tilesius)の精巣及びブロッコリー(Brassica oleracea L. var. italica Plenck.)のつぼみから粗DNAを抽出することができた.

2.マダラの精巣及びプロッコリーのつぼみから抽出された粗DNAをシッフの試薬につけたところ,赤紫色に染まったので,抽出された粗DNAにDNAが含まれていることがわかった.

3.教育現場で容易に調製できない緩衝液や遠心機の使用を省く簡易な抽出方法を用いて,粗DNAを抽出することができた.

4.植物組織の凍結・粉砕方法においては,液体窒素の代わりに,手に入りやすいドライアイスを用いた.植物材料をチャック付きポリ袋に入れドライアイスで冷凍し,袋ごとハンマーでたたき組織を粉砕した.この粉砕方法でも粗DNAを抽出できることがわかった.

5.生徒自らが,動物組織と植物組織から同じ方法で並行してDNA抽出を行うことができ,しかもそれが50分授業内に収まることがわかった.

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© 1998 一般社団法人 日本生物教育学会
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