2020 年 61 巻 3 号 p. 136-143
現行の中学校学習指導要領理科編では,生物分野で生物の種類の多様性と進化を学ぶ.しかし,教科書には実験や観察が1例しか無く,理解を促す有効な方法が限られていることが現状である.現在の指導方法ではラマルクの考えである獲得形質の遺伝や強いものが生き残ると考える誤概念が見られることが,中学生を対象にした進化に関する調査で明らかになっている.そこで,本研究では進化理論である自然選択説を容易に理解できるモデル教材を作成し,その教材の有効性について検討を試みた.本教材は視覚的に環境の違いを再現したことにより,進化の理論の柱となっている自然選択説を容易に理解させることに有効であることが示唆された.一方で,獲得形質の遺伝に関する誤概念の修正は行えなかった.