生物教育
Print ISSN : 0287-119X
研究報告
Kalanchoe属植物(ベンケイソウ科)の葉縁に発生する不定芽の発生過程の解析とその教材化
亀井 忠文海藤 愛結石原 慈
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2020 年 61 巻 3 号 p. 144-149

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抄録

コダカラベンケイKalanchoe daigremontiana(ベンケイソウ科)の葉縁由来不定芽の発生過程を双眼実体顕微鏡及び走査型電子顕微鏡レベルで観察・解析し,その教材化を試みた.葉縁由来不定芽の発生初期は,受精胚とまったく同様に球状胚様器官・心臓型胚様器官・魚雷型様器官胚・成熟胚様器官と進むことが,走査型電子顕微鏡での観察で確認できた.葉片から誘導した不定芽(葉片由来不定芽)と葉縁由来不定芽を比較した結果,葉縁由来不定芽は葉片由来不定芽とはまったく異なり生理的に独立性が高い器官であることが裏付けられた.

本種の葉縁由来不定芽の発生過程は,顕微鏡で直接容易に観察できた.一方,重複受精を経た受精胚の発生は直接観察することがたいへん困難だと思われるので,この研究で示した本種の葉縁由来不定芽の発生過程の観察結果は,植物の受精胚の発生過程を形態的・視覚的にイメージするのに有効な教材だと考えられた.また,この教材は植物細胞の分化全能性や植物の生殖の多様性についての理解の深化にもつながるものと考えられた.

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© 2020 一般社団法人 日本生物教育学会
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