2021 年 62 巻 3 号 p. 167-172
保育者が,幼児と動物との関わりを支援する際の特徴的な言葉かけとして,動物に対して「さん」「くん」「ちゃん」といった敬称を付けて呼ぶ表現(敬称表現)が挙げられる.保育者83名に対する質問紙調査の結果,幼児と8種類の動物との3種類の関わりの場面について,敬称表現が用いられる場合は60.5%であった.幼児が動物と仲良く遊んでいる場面,動物をいじめている場面では,幼児が動物の生態に興味を持っている場面と比較して,敬称表現が用いられる頻度が高かった.敬称表現の使用のねらいについて,保育者は,幼児の生命尊重や親しみの感情,思いやりの気持ちの育ちを意識していた.