バイオフィードバック研究
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就寝前の心拍変動バイオフィードバック訓練が睡眠中の心肺系休息機能に及ぼす影響
榊原 雅人早野 順一郎
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2015 年 42 巻 1 号 p. 47-56

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抄録

本研究は心拍変動バイオフィードバック(以下,HRV-BF)が睡眠中の心肺系休息機能に及ぼす効果について12名の成人男女において検討した.実験参加者はHRV-BF条件とcontrol条件(無処置)を約1週間の期間をおいてランダムな順序で実施した.HRV-BF条件では,PCを利用したHRV-BFプログラムを就寝前に約20分(10分間の訓練を2回)実施し,その際,参加者はペースメーカーに合わせて約0.1Hzのペース呼吸を行った.Control条件は参加者にふだんの睡眠時間までいつもどおりに過ごすよう求めた.両条件とも,参加者の自宅にて,腕時計型の脈波センサを利用して睡眠中の脈波データを連続的に4日間測定した.心肺系休息機能は,脈拍間隔変動の高周波(high-frequency: HF)成分の振幅を呼吸性不整脈の代替測度として評価した.HRV-BF条件における睡眠中のHF振幅はcontrol条件に比較して有意に高い値を示した.また,HRV-BF条件における就寝前の状態不安尺度得点はcontrol条件と比べて低値であったが,起床時の睡眠感を評価する尺度に有意な変化はみられなかった.これらの結果は,就寝前のHRV-BFが睡眠中の心肺系休息機能を高めることを示唆し,先行研究(Sakakibara et al., 2013)の知見に一貫したものであった.

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© 2015 日本バイオフィードバック学会
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