本研究では,抑うつ的反すうに関するネガティブな信念の確信度を測定する尺度を作成し,また,この信念の確信度が抑うつ傾向と関連するという仮説を検討することを目的とした。研究1では,大学生465名に対して,抑うつ的反すうに関するネガティブな信念の内容を反映していると考えられる項目群からなる質問紙を実施した。得られた回答に対する因子分析の結果を踏まえて,1因子構造からなる「抑うつ的反すうに関するネガティブな信念尺度(NBDRQ)」を作成した。研究2では,大学生129名に対して,NBDRQと心配に関する信念の確信度を測定する尺度を実施した。変数間の相関関係から,NBDRQの十分な構成概念妥当性が確認された。それに加え,研究2では,大学生107名に対して,NBDRQを4週間の間隔をあけて2度実施した。2度実施したNBDRQの得点間の相関係数から,尺度の再検査信頼性が確認された。研究3では,大学生196名に対して,NBDRQと抑うつ的反すう傾向,および抑うつ傾向を測定する尺度を実施した。その結果,抑うつ的反すう傾向の影響を統制した上でも,NBDRQ得点と抑うつ傾向との関連性が示され,抑うつ的反すうに関するネガティブな信念の確信度が抑うつ傾向と関連するという仮説が支持された。抑うつ的反すうに関するネガティブな信念を変容することにより,抑うつ傾向を効果的に低減できる可能性が示唆された。