行動療法研究
Online ISSN : 2424-2594
Print ISSN : 0910-6529
大学生を対象としたライフ・イベントの実態調査と日本版外傷後認知尺度の開発(資料)
長江 信和増田 智美山田 幸恵金築 優根建 金男金 吉晴
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2004 年 30 巻 2 号 p. 113-124

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抄録

外傷後認知尺度は、外傷体験者の認知を測る尺度である(Foa et al., 1999)。外傷後認知は、否定的なライフ・イベントの体験者にみられる外傷的反応の予後に影響を及ぼすと考えられる。本研究では、大学生における否定的ライフ・イベントの体験の分布を調べるとともに、その体験者を対象として日本版外傷後認知尺度の尺度化を試みた。大学の教場で調査を行った結果、回答者2,622名のうち53.5%は自然災害や交通事故などの体験者であることが判明した。一方、外傷後認知尺度の翻訳版がバックトランスレーションの手続きを経て作成された。否定的ライフ・イベントの体験者に対して郵送調査を行った結果、Foa et al.(1999)と同様の3因子が見いだされ、良好な再検査信頼1生と基準関連妥当性が確認された。日本版外傷後認知尺度は、否定的ライフ・イベントの体験者である大学生一般に適用できる可能性が示唆された。

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© 2004 一般社団法人 日本認知・行動療法学会
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