行動療法研究
Online ISSN : 2424-2594
Print ISSN : 0910-6529
最重度知的障害を伴う自閉症のある成人に対する時計の読みの指導(実践研究)
藤田 昌也松見 淳子平山 哲
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 37 巻 3 号 p. 195-204

詳細
抄録

本研究は、最重度知的障害を伴う自閉症成人女性に対して、1時間単位の時計の読みと時系列の順序を指導した事例研究である。対象者は、28年間施設を入所利用し、)し2年から重症心身障害児施設を入所利用する41歳の最重度知的障害を伴う自閉症のある女性である。モデル提示、弁別訓練、プロンプトを用いた約30分の指導セッションを45試行、フォローアップを5試行実施した。介入の結果、アセスメントでは7以上の数字を読むことができなかった対象者が、段階的な指導を行うことにより1時間単位の時計の読みと時系列の順序を獲得することができた。3カ月半後のフォローアップでは時計の読みスキルの維持と他の時計への般化も確認された。本研究の結果から、段階的な行動的支援方法を用いることにより、最重度知的障害を伴う自閉症成人に対して、日常生活に応用可能な新たなスキルを形成できることが示された。

著者関連情報
© 2011 一般社団法人 日本認知・行動療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top