行動療法研究
Online ISSN : 2424-2594
Print ISSN : 0910-6529
原著
体験の回避がスピーチ時のストレス反応に及ぼす影響
松本 明生
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2017 年 43 巻 2 号 p. 115-125

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抄録

本研究の目的は、体験の回避がスピーチ時のストレス反応に及ぼす影響について検討することであった。研究1では144人の大学生に対して体験の回避を測定するAAQ-Jへの記入と中性場面とスピーチ場面の想起、そして想起中の気分の評定を求めた。分析の結果、AAQ-J得点とスピーチ場面想起時のネガティブ気分との関連が示された。研究2では、聴衆不安尺度で選抜された18名のスピーチ不安の高い大学生をアクセプタンス教示条件と統制条件の2条件に分けた。アクセプタンス教示条件ではベースラインとしてのスピーチ課題を1回実施した後、アクセプタンス教示下でのスピーチ課題を3回実施した。一方、統制条件ではスピーチ課題のみを4回実施した。その結果、アクセプタンス教示条件の研究参加者にはスピーチ課題中の主観的不安の低減が認められた。考察では、体験の回避とストレス反応との関連と今後の研究・臨床上の課題について論じた。

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© 2017 日本認知・行動療法学会
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