カレン研究は岩手県北部地域を対象とした成人透析患者の悉皆性コホート研究で、2003年6月から2004年3月までに登録調査を終えた。参加同意者の内1,214名 (全体の81%) で血液検査を含めた登録調査を実施した。25透析施設を直接訪問して、1,214名の透析患者診療記録を1年ごとに閲覧した。平成19年4月の時点で、転院先での詳細な追跡調査が終了していないものが69名存在している。生存分析による解析は1,145名を対象に検討した。総観察人年は2,215人年であった。観察期間中に189名の死亡、214名の心不全発症、29名の急性心筋梗塞発症、107名の脳血管疾患発症を確認した。死亡率は85/1000人年で、死亡率に性差はなく、原疾患別で比較すると糖尿病性腎症患者の死亡率が高かった (p<0.01) 。Cox回帰分析による検討では、死亡に影響していたリスク要因として、年齢 (ハザード比 (95%信頼区間) : 1.047 (1.033-1.062)) 、糖尿病合併 (1.502 (1.096-2.058)) 、 C型肝炎抗体陽性 (1.546 (1.015-2.356)) 、血清低アルブミン値 (2.272 (1.657-3.117)) 、血清高CRP値 (1.907 (1.403-2.591)) 、があげられ、これらの要因は、循環器疾患合併、悪性新生物合併の有無に関わらず、死亡の強いリスク要因であった。