移行諸国への外国直接投資:ロシアを中心に

抄録

本稿の目的は,中東欧・旧ソ連諸国へのFDIの動向及び同地域における外資の立地選択を巡る先行研究の議論や実証面での事実発見を踏まえ,対露FDIの低調さを規定した諸要因の解明を試みることである。その結果ロシアに「固有」ないし「極めて顕著」な投資阻害要因の存在が確認された。前者は資源ナショナリズム及び中央・地方政府間関係の複雑さであり,後者は法律・税制上の制度的不確実性と汚職及び経済犯罪の蔓延である。