在宅薬学
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総説
薬事法規制度改正の議論から考える薬局・薬剤師のあり方と地域医療での関わり
神谷 政幸
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2019 年 6 巻 1 号 p. 3-10

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抄録

団塊の世代が後期高齢者となる2025 年に向けて,国は地域包括ケアシステムの構築を推し進めている.そのなかで薬局は医療提供施設として健康サポート機能を発揮することが期待されている.2018 年年末に公表された薬機法改正に伴う「とりまとめ(案)」において,薬剤師は調剤時のみならず,薬剤の服用期間を通じて,over-the-counter(OTC)医薬品等を含む必要な服薬状況の把握や薬学的知見に基づく指導を行う義務があることを明確化するべきと記載されている.しかしながら,健康食品やOTC 医薬品に関する薬剤師への信頼は低く,かつ健康被害が起こっている状況を鑑みると,体調変化を継続して把握できる体制の構築が急がれる.そして,それは疾患発症後の薬物治療においても継続して行うことで,医療を質的に向上させることが可能になる.それを地域で連携して行うためには,患者やさまざまな医療職,介護職にその薬局がもつ機能を積極的に提示していくことが求められる.社会の変化に伴うニーズに応えていくことで,薬局・薬剤師が地域医療に大きく貢献する未来につながると信じている.

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© 2019 一般社団法人日本在宅薬学会
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