聴能言語学研究
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〈補助代替コミュニケーション(AAC):コミュニケーションの拡大と代替をめぐって〉言語発達遅滞児および重複障害児の言語訓練におけるAACの位置づけについて
知念 洋美
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1999 年 16 巻 1 号 p. 32-39

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抄録

多発奇形や気管切開に知的障害を伴う重複障害児1例と,〈S-S法〉で音声発信困難と分類される言語発達遅滞児1例の数年間にわたる訓練経過について報告した.両症例とも訓練開始時には発語がなく,AACアプローチを取り入れて包括的な訓練プログラムを実施した.前者は発語を代替するコミュニケーション手段として文字を習得し,後者は身ぶりを媒介として約20語の発語を獲得し,なお訓練を継続している.発信行動習得モデルを用いて各症例の訓練経過を分析し,併せてAACで扱う記号のモダリティと段階の相対化や,臨床におけるAAC概念の位置づけなどに関して考察した.

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