コミュニケーション障害学
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高機能自閉症者の単語理解における心像性効果
雨宮 美穂子長塚 紀子原 恵子加藤 元一郎
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2007 年 24 巻 3 号 p. 173-180

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抄録

高機能自閉症者の言語理解が視覚イメージに依存している可能性について,語の心像性という観点から健常者と比較し検討した.高機能自閉症者1名と健常者20名に単語を呈示し,その意味を5つの選択肢から選ばせた.独立変数は心像性(高・中・低)と呈示方法(視覚・聴覚)の2要因である.実験の結果,(1)自閉症者は低心像性条件で健常者より有意に成績が低かった.(2)自閉症者が単語理解において視覚イメージに依存する傾向が健常者よりも強いことが示された.(3)自閉症者では聴覚呈示より視覚呈示の条件で心像性効果がより強くみられた.これは,単語を構成する個々の漢字から想起されるイメージが関係していると推測される.高機能自閉症者に対する援助方法として,呈示方法を視覚的にするだけでなく,周囲の者が,視覚イメージを利用しやすいようなことばの使い方をすることが有効だと考えられる.

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