犯罪心理学研究
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原著
性的情報接触と性犯罪行為可能性:性犯罪神話を媒介として
湯川 進太郎泊 真児
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1999 年 37 巻 2 号 p. 15-28

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抄録

本研究は,性犯罪を促進する要因として,そうした行為を合理化する誤った信念・態度(性犯罪神話)に注目し,性犯罪神話を形成する要因として,性的メディア(ポルノグラフィ)との接触,友人・先輩との性的な情報交換,パーソナリティなどが一体どのように結びついているのかを,一般の大学生を対象に検討した.その際,性犯罪神話が実際の性犯罪行為の可能性(許容性)へどのようにつながるのかについても併せて検討した.そこで本研究ではまず,因果モデルとして, 個人内要因(性経験・交際相手・一般的性欲・パーソナリティ),性的メディア接触,友人・先輩との性的情報交換,性犯罪神話,性犯罪行為可能性という因果の流れを想定した.そして,男子大学生165名を対象に質問紙調査によって上記の変数群を測定し,重回帰分析を用いたパス解析を行った.その結果,性経験があることや一般的性欲が高いことが性的メディア(ポルノグラフィ)との接触を促し,それが身近で類似した他者である友人・先輩との性的な情報交換を介して,性犯罪を合理化する誤った信念・態度である性犯罪神話(暴力的性の女性側の容認,女性の性的欲求に関する誤認)の形成へとつながり,その結果として女性に対する犯罪的な性暴力の可能性(許容性)へと結びつくことが示された.

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© 1999 日本犯罪心理学会
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