日本外科系連合学会誌
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症例
Paclitaxelとtrastuzumabの併用投与により5年間の長期CRが得られた肺・肝転移再発乳癌の1例
中嶋 啓雄水田 成彦藤原 郁也阪口 晃一中務 克彦小林 文
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2007 年 32 巻 4 号 p. 643-647

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抄録

術後再発乳癌に対してTrastuzumabとPaclitaxel (PTX) の併用投与により, 肺転移と肝転移が消失し, その後Trastuzumabの投与により長期CRが得られた症例を経験した。54歳女性に発生したER (-), PgR (-), HER2 (3+) のStage II B乳癌に対し, 術後化学療法としてAC療法 (Doxorubicin : 40mg/m2, Cyclophosphamide : 600mg/m2) を行ったが, 術後1年5カ月後に鎖骨上リンパ節転移, 肺転移および肝転移が認められたためTrastuzumabとPTXの併用療法を開始した。PTX (80mg/m2) とTrastuzumab (2mg/kg, 初回のみ4mg/kg) をweeklyで6回投与し1回休薬するレジメで開始したところ, 2クール終了時には腫瘍マーカーが正常値となり, 肺転移および肝転移ともに消失した。その後Trastuzumabの単剤投与を行うことにより5年間の長期CRが得られた。

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© 2007 日本外科系連合学会
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