抄録
症例は70歳,男性。右下腹部痛,発熱を主訴に入院。腹部CTにて上行結腸の著明な壁肥厚と右腸腰筋膿瘍を認めた。イレウスを伴う上行結腸癌の診断で,回盲部切除術を施行した。盲腸背側と腸腰筋との間に頭尾方向に約5cmの膿瘍腔を認めた。腫瘍の腸腰筋への直接浸潤は肉眼的に認められなかった。切除標本所見は中分化型腺癌,5×6cm,2型,SE,ly0,v0,N0,PM0,DM0,RM1,であった。術後CPT-11+5-FU/1-LVを10カ月間施行し,再発所見を認めないため,UFT内服に変更した。その後,術後14カ月目より腫瘍マーカーの上昇を認めた。右腸腰筋に造影MRIにて径2×3cmのリング状に造影される腫瘍を認め,同部位に一致してFDG-PETにて高度集積を認めた。術後18カ月目に右腸腰筋部分切除,小腸部分切除術を施行した。切除標本より局所再発と診断された。