2008 年 33 巻 6 号 p. 880-883
症例は60歳,女性。平成17年に胃粘膜下腫瘍を指摘されていたが,放置していた。平成19年6月に心窩部不快感が出現したため,胃内視鏡検査を施行したところ,潰瘍は認めないものの腫瘍は約3cm大に増大していた。腹部造影CTでは境界明瞭な約3cm大の腫瘍を認め,超音波内視鏡においては内部が均一のhyperechoic massを認めた。胃脂肪腫と診断したが増大傾向があり胃脂肪肉腫などの悪性腫瘍の可能性も否定できないため,手術施行することとした。手術は腹腔鏡補助下幽門側胃切除術を施行し,Billroth-I法で再建した。切除標本は黄色調,弾性軟の腫瘍であった。病理組織検査にて胃脂肪腫と診断した。術後経過は順調で,術後第13病日に退院した。胃脂肪腫は胃良性腫瘍の0.6~4.8%と比較的稀な腫瘍である。胃脂肪腫に対して腹腔鏡補助下にて切除した1例を経験したので報告する。