日本外科系連合学会誌
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症例報告
発症後早期の手術により救命しえた特発性食道破裂の2例
松田 佳奈弓場 健義山崎 芳郎別府 直仁森本 芳和藤井 眞赤丸 祐介
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2009 年 34 巻 5 号 p. 801-806

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抄録

 発症後早期の一期的縫合閉鎖術により救命しえた,特発性食道破裂の2例を報告する.症例1は69歳,男性.飲食後の嘔吐により発症した.胸部CTで縦隔気腫を認め,上部消化管内視鏡で確定診断した.発症後11時間30分で一期的縫合閉鎖術と胃底部縫着を行い,術後縫合不全なく治癒した.症例2は76歳,男性.上部消化管内視鏡処置中の嘔吐により発症した.胸部CTで縦隔気腫を確認し,発症後4時間で一期的縫合閉鎖術と胃底部縫着を行い,術後合併症なく治癒した.特発性食道破裂の治療では,発症から治療までの時間が予後に関係するとされる.また,手術術式は一期的縫合閉鎖術が第一選択で,胃底部縫着により術後縫合不全が減少するという報告がある.自験例は2例とも,発症後早期の積極的な診断と手術により良好な結果が得られたと考えている.

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© 2009 日本外科系連合学会
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