2009 年 34 巻 5 号 p. 922-926
今回われわれは術前,術中所見でMirizzi症候群と診断し,術後病理結果で胆嚢癌と診断された1例を経験したので報告する.症例は68歳,女性.脳梗塞にて当院脳神経外科入院中に,血液生化学検査で肝胆道系酵素の上昇を認め,精査目的で外科転科となった.画像所見上,10cmを超える巨大胆嚢結石,総肝管狭窄,肝内胆管拡張を認め,Mirizzi症候群の診断で開腹手術を施行した.術中所見では,Calotの3角が高度の炎症のため剥離困難であり,まず胆嚢底部を部分切除し,結石を除去した.底部より胆嚢内検索したところ術前に留置した内視鏡的胆道ドレナージ(EBD)チューブが確認され,胆嚢胆管瘻と診断した.術中病理で部分切除した胆嚢底部に悪性所見を認めなかったことより胆嚢切開,Tチューブ留置,胆嚢縫縮術を施行した.術後最終病理診断で,管状腺癌と診断されたが,全身状態を考慮し,追加切除を施行せず,経過観察とした.