日本外科系連合学会誌
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症例報告
腹腔鏡下直腸癌手術中に発見された無症候性回腸異所性膵の1例
小菅 誠大熊 誠尚林 武徳石山 哲小田 晃弘衛藤 謙渡部 通章小川 匡市柏木 秀幸矢永 勝彦
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2009 年 34 巻 5 号 p. 939-942

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抄録

 症例は39歳,女性.下血を主訴に前医受診し,下部消化管内視鏡検査で直腸癌を認め精査加療目的に当科紹介受診となった.手術目的に入院後,腹腔鏡下低位前方手術を施行した.術中回腸末端から約100cm口側に約20mm大の腫瘍を認め,小腸癌などの可能性も考えられたため回腸部分切除を併せて施行した.病理組織学的検査ではHeinlichI型の異所性膵の診断であった.異所性膵は胃から空腸までの膵近傍に好発する疾患で,回腸に発生することは比較的稀である.回腸異所性膵は腸重積を引き起こし発症することが多く,無症状で他疾患手術中に発見されることは少ない.開腹手術に比べ腹腔鏡手術では術中の腹腔内検索は触感や視野の制限が多く困難であるが,重要な基本手技であると考えられた.

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© 2009 日本外科系連合学会
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